(ニュース)津波災害警戒区域を指定している都道府県 40都道府県中18道府県に留まる

2022年1月16日の新聞に気になる記事があったので、調べてみました。ちなみにこの日は、トンガでの大規模海底噴火で、日本でも津波警報・注意報が発令された日です。

目次

津波災害警戒区域とは

津波防災地域づくりに関する法律(平成23年法律第123号)第53条に基づき指定されるのが「津波災害警戒区域」     以下関係条文

(抜粋)                                                    第八章 津波災害警戒区域(津波災害警戒区域)                                  第五十三条 都道府県知事は、基本指針に基づき、かつ、津波浸水想定を踏まえ、津波が発生した場合には住民その他の者(以下「住民等」という。)の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で当該区域における津波による人的災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域を津波災害警戒区域(以下「警戒区域」という。)として指定することができる 前項の規定による指定は、当該指定の区域及び基準水位(津波浸水想定に定める水深に係る水位に建築物等への衝突による津波の水位の上昇を考慮して必要と認められる値を加えて定める水位であって、津波の発生時における避難並びに第七十三条第一項に規定する特定開発行為及び第八十二条に規定する特定建築行為の制限の基準となるべきものをいう。以下同じ。)を明らかにしてするものとする。 都道府県知事は、第一項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、関係市町村長の意見を聴かなければならない。 都道府県知事は、第一項の規定による指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨並びに当該指定の区域及び基準水位を公示しなければならない。 都道府県知事は、前項の規定による公示をしたときは、速やかに、国土交通省令で定めるところにより、関係市町村長に、同項の規定により公示された事項を記載した図書を送付しなければならない。 第二項から前項までの規定は、第一項の規定による指定の変更又は解除について準用する。

要するに最大クラスの津波が発生した場合に、住民の生命・身体に危害が生ずる恐れがある区域で、津波災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき区域のことです。

  • 都道府県知事は、指定することができます(義務ではない)が指定にあたっては、市町村長から意見聴取をする必要があります。
  • 指定にあたっては、指定区域と基準水位を公示する必要があります。

津波災害警戒区域がニュースになった理由

津波被害の恐れのある40都道府県のうち、津波災害警戒区域を一部でも指定しているのは、18道府県に留まることがわかったことがニュースになっていました。これは、国土交通省が2021年8月末自転の調査結果。

創設から10年で制度の活用が進んでいない理由としては以下の点が上げられるそうです。

  1. 指定することによる当該地域の地価下落が懸念される
  2. 想定水位が千年に一度であることから切迫感が少ない

上記1については、不動産取引の際の重要事項として説明をしなければならないので、指定前に買った土地家屋が、指定後に評価が下がるのは十分に考えられますね。

今回のニュースに該当する都道府県は?

国土交通省がホームページなどで公開している資料の内、津波災害警戒区域との検索キーワードでヒットした一覧はありませんでした。しかしながら、津波防災地域づくりに関する法律に基づく施策から推測することができましたので、40都道府県を以下に一覧を作成しました。(なお、18道府県のうちHPに記載があることがわかった16道府県については、公開されている各道府県の該当ページのリンクを貼っています。)

北海道・・・北海道

東北・・・・青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島

関東・・・・茨城、千葉、東京、神奈川

北陸・・・・新潟、富山、石川、福井

中部・・・・岐阜、静岡愛知、三重

関西・・・・和歌山、大阪、兵庫、京都

中国・・・・鳥取、島根、岡山、広島山口

四国・・・・徳島、香川、愛媛、高知

九州・・・・福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島

沖縄・・・・沖縄

18道府県以外の取り組み

津波災害警戒区域が定められている「津波防災地域づくりに関する法律(平成23年法律第123号)」の第8条1項では、都道府県知事は「津波浸水想定」を設定することになっております。これは、基礎調査の上で定められています。今回のニュースは、この「基礎調査」と「津波浸水想定」を踏まえた上で作られる「津波災害警戒区域」が指定されていないというものです。(岩手県のHPにてわかりやすい資料があったので画像とリンクを貼っておきます。)

前段の津波浸水想定を調べることで、お住まいの置かれている状況がわかるのは間違いないので、一度調べてみてはいかがでしょうか?

ニュースで出ない都道府県名

今回びっくりしたのは、上記のリストが調べても出ないことと、18道府県がどこかもわからないことでした。これは、公開されていないものなのか、国土交通省が流した情報をそのまま流したのみで、追加の取材を一切しなかったからなのかは不明です。ちなみに、岐阜には海がありませんが、川の逆流で被害が出る可能性があるから含まれているそうです。

追記:よく調べてみると、法律の立て付けとしては、公示するのは都道府県知事で、国土交通省から公表するものとなっていないようですね。今回の記事は、津波が迫っているタイミングで、各都道府県が津波災害警戒区域を指定するように働きかけるための、国土交通省の発表と受け止めてもいいのかもしれませんね・・・

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